こんにちは。ゲーミングPC完全ナビ運営者の「だいご」です。
最近のゲーミングノートPCは性能が飛躍的に向上していますが、それに伴って発熱の問題も深刻化していますね。皆さんも、長時間のゲームプレイ中にキーボードが触れないほど熱くなったり、ファンの音がジェットエンジンのようにうるさくなったりした経験はないでしょうか。
特に夏場などは、熱暴走によるフレームレートの低下や強制シャットダウンに悩まされることも少なくありません。インターネットでゲーミングノートPCの冷却について最強の方法を検索すると、おすすめの冷却台やファンの増設、あるいは自作での改造や水冷化といった情報が出てきますが、どれが本当に効果的なのか判断するのは難しいものです。

私自身も過去には様々な冷却グッズを試してお金を無駄にしてきましたが、試行錯誤の末にたどり着いた結論があります。この記事では、私が実際に検証して効果を確認した外部デバイスの選び方から、内部のグリス塗り替えやソフトウェアによる制御まで、あらゆる角度から熱対策を徹底解説します。
- 密閉型圧送クーラーがもたらす圧倒的な冷却効果を知る
- 100均アイテムを活用したコストパフォーマンス最強の冷却法を学ぶ
- PTM7950への塗り替えで劇的に温度を下げる内部対策を習得する
- ソフトウェア制御による発熱抑制技術で根本的な解決を図る
ゲーミングノートPCの冷却性能を底上げするために、最も手軽で効果的なのが外部冷却機器の導入です。しかし、市場には数千円の安価な製品から数万円する高価なものまで無数のクーラーが溢れており、その性能差は歴然としています。ここでは、現在市場で入手可能な製品の中で、物理的に理にかなった「本物」の冷却ソリューションだけを厳選してご紹介します。

ゲーミングノートPCの冷却で最強の外部機器を選ぶ
市場には「冷える」と謳う商品が溢れていますが、その構造を理解しなければ、効果のない製品にお金を払うことになります。一般的に販売されている数千円程度の冷却パッドの多くは、単にファンを回して風を送るだけの構造ですが、これでは現代のハイエンドゲーミングノートPCの発熱に対抗するには力不足です。ここでは、流体力学や物理法則に基づいた、真に効果のある外部冷却デバイスについて、そのメカニズムから詳しく解説します。
密閉型圧送クーラーが最強な理由

結論から申し上げますと、現時点でゲーミングノートPCの冷却において「最強」の座にあるのは、間違いなく「密閉型圧送方式(Sealed Pressure Cooling)」を採用したクーラーです。これ以外の選択肢は、冷却効率の面で大きく劣ると言っても過言ではありません。
なぜ従来の冷却パッドでは冷えないのか
Amazonなどでよく見かける一般的な冷却台は、PCの底面に向けてファンで風を送ります。しかし、PCの底面と冷却台の間には隙間があるため、送られた風の大部分は、抵抗の大きいPC内部の吸気口(フィルターやヒートシンクがあるため通りにくい)へは入らず、抵抗の少ない横の隙間から逃げてしまいます。これを流体力学の観点では「リークフロー(漏れ)」と呼びますが、要するに、ファンの風量のうち実際に冷却に使われているのはごく一部に過ぎないのです。
強制過給による冷却の革命
対して、密閉型圧送クーラーは、高密度のメモリフォーム(スポンジ)を使用して、PCの底面とクーラーの間を完全に隙間なく密閉します。この状態で、産業用クラスの強力な大型ターボファンを回転させると、逃げ場を失った空気はチャンバー内の圧力を高め(静圧上昇)、PCの吸気口へと強制的に押し込まれます。
これは自動車エンジンの「ターボチャージャー」と全く同じ原理です。PC内蔵のファンが一生懸命空気を吸い込もうとするのを、外部から強力に空気を押し込んでアシストするため、通常ではあり得ない量の空気がヒートシンクを通過します。実際に使用してみると、CPUやGPUの温度が15℃から最大で20℃以上低下することも珍しくありません。この圧倒的な温度差は、従来の「風を当てるだけ」の冷却パッドでは物理的に達成不可能な領域です。
IETSとLlanoの冷却性能比較
この密閉型圧送クーラーというジャンルにおいて、現在世界中で激しいシェア争いを繰り広げているのが「IETS GT600」と「Llano V12」という2つの製品です。どちらを選んでも従来の冷却台とは比較にならない性能を得られますが、ユーザーの目的や許容できる騒音レベルによって、選ぶべき「最強」は異なります。
IETS GT600:運用しやすさを兼ね備えたバランサー
IETS GT600の最大の特徴は、その巨大なファン径にあります。約140mm相当の大型ターボファンを採用しているため、比較的一般的な回転数でも十分な風量と静圧を確保できます。これにより、最大出力にせずとも十分な冷却性能を発揮でき、日常使用においては耳障りな高周波ノイズを抑えることに成功しています。また、USBハブ機能が非常に安定しており、ゲーミングマウスやキーボードを接続しても遅延なく動作するため、ドッキングステーションとしての利便性も高いのが魅力です。
Llano V12:鼓膜を犠牲にしてでも冷やす絶対王者
一方、Llano V12(およびその派生モデル)は、なりふり構わず「絶対的な冷却力」を追求したハードコアモデルと言えます。ファンの回転数は極めて高く、最大出力時の風圧は台風並みです。海外の検証データや私の実測においても、IETS GT600をさらに数℃上回る冷却性能を示すことがありますが、その代償として騒音は「爆音」レベルに達します。ヘッドセットなしでゲームをすることは困難であり、同居人がいる場合は使用をためらうほどです。しかし、「1FPSでも高く、1℃でも低く」という競技志向のゲーマーにとっては、この妥協なき性能こそが正義となるでしょう。
| 比較項目 | IETS GT600 | Llano V12 |
|---|---|---|
| 冷却方式 | 密閉型圧送 (Sealed Pressure) | 密閉型圧送 (Sealed Pressure) |
| 冷却性能 | 極めて高い (ΔT -15℃~20℃) | 最強クラス (ΔT -18℃~25℃) |
| 最大騒音 | 大きい (50dB~60dB超) | 極めて大きい (ヘッドセット必須) |
| 静音性 | 低回転時は実用的 | 低回転でもモーター音が目立つ |
| ターゲット | バランス重視の一般ゲーマー | 冷却絶対主義のハードコア層 |
ペルチェ素子搭載クーラーの危険性
「ゲーミングノートPC 冷却 最強」というキーワードで検索すると、最近よく目にするのが「ペルチェ素子(Thermoelectric Cooling)」を搭載したクーラーです。電源を入れるとプレート表面が数秒で氷点下近くまで冷えるため、デモンストレーションとしては非常にインパクトがあり、「これは効きそうだ!」と思ってしまうのも無理はありません。しかし、私はゲーミングノートPC、特にハイエンドモデルに対してこの方式を使用することを強く反対します。
表面を冷やしても内部のコアは冷えない
まず、冷却効率の問題です。ペルチェ素子が冷やすのは、接触している「PCの底面パネル」だけです。しかし、熱源であるCPUやGPUは筐体の奥深くに位置しており、マザーボードや空気の層によって隔てられています。底面のプラスチックパネルをいくら冷やしても、それがヒートパイプの熱を直接奪うことには繋がりにくいのです。
最大のリスク:結露による全損
そして何より恐ろしいのが「結露(Condensation)」のリスクです。日本の夏は高温多湿です。この環境下で、金属プレートを急激に冷やすと、冷えたコーラの缶に水滴がつくのと同じ原理で、プレート表面に大量の水分が発生します。密閉型ではない一般的なペルチェクーラーの場合、発生した水滴はPCの吸気ファンによって吸い上げられ、マザーボード上に散布されます。水滴が回路に触れれば、当然ショートしてPCは一瞬で故障します。

全損リスクを認識してください
ペルチェ素子による冷却は、スマートフォンクーラーのような「熱源と冷却面が近い」デバイスには有効ですが、構造が複雑なノートPCにおいては、冷却メリットよりも水没故障のリスクが遥かに上回ります。大切なPCを守るためにも、安易な導入は避けるべきです。
吸引式ファンが今は推奨されない訳
かつて、ノートPCの冷却グッズとして一世を風靡したのが、排気口に取り付けて中の熱気を吸い出す「吸引式クーラー(Vacuum Fan)」です。数年前までは効果的なソリューションとして紹介されることもありましたが、現代の薄型・高性能なゲーミングノートPCにおいては、推奨されない、あるいは使用できないケースがほとんどです。
物理的な取り付けが困難
最近のゲーミングノートPC(ASUS ROGやMSI、Alienwareなど)は、排熱効率を高めるために、背面全体に排気口が広がっていたり、側面にも排気口があったりと、複雑な形状をしています。吸引式クーラーは、小さな排気口一つに密着させる必要があるため、こうした分散型の排気システムを持つPCには物理的に取り付けができません。
PCの寿命を縮める可能性
さらに深刻なのが、ファンへの負荷です。吸引式クーラーは強力なモーターで空気を吸い出しますが、これがPC内蔵のファンの回転数と同期しているわけではありません。PC側が低回転で回っている時に、外部から無理やり高速で吸い出すと、内蔵ファンが風車のように回されてしまい、軸受(ベアリング)に過度な負荷がかかります。これによりファンから異音が発生したり、最悪の場合は故障したりする原因となります。冷却効果自体も密閉型圧送方式には及ばないため、今あえてこの方式を選ぶメリットはほぼゼロと言ってよいでしょう。
100均グッズで冷却効果を高める
「数万円もする高級クーラーを買う予算はないけれど、何とかしてPCを冷やしたい」という方も多いでしょう。実は、物理法則を正しく理解し、ちょっとした工夫をするだけで、数百円のコストで驚くほどの冷却効果を得ることができます。その基本となるのが「インピーダンス(吸気抵抗)の低減」です。
吸気スペースの確保が全て
ゲーミングノートPCの底面には吸気口がありますが、机の上にベタ置きすると、机とPCの隙間はわずか数ミリしかありません。流体力学の「ベルヌーイの定理」などの観点からも、狭い空間を空気が通ろうとすると流速が上がり圧力が下がるなど、スムーズな吸気が阻害されます。結果として、ファンがどれだけ高速回転しても、十分な空気の質量(マスフロー)を取り込めない状態になります。
ドアストッパーとUSB扇風機のコンボ
そこで活躍するのが、100円ショップ(ダイソーやセリアなど)で売られているゴム製の「ドアストッパー」や「耐震マット」です。これらをPCの奥側(ヒンジ側)の左右に挟み込み、底面を2~3cmほど持ち上げてください。

たったこれだけで、吸気口周辺の空間が広がり、空気の抵抗が劇的に減ります。私の検証では、これだけでCPU温度が3℃~5℃低下しました。さらに、持ち上げたことでできた空間に向けて、横からUSB扇風機で風を送れば完璧です。PCの周囲に滞留する熱気(ヒートアイランド)を吹き飛ばし、常に室温の新鮮な空気を吸わせることで、冷却効率は最大化されます。
コストパフォーマンス最強の対策
・費用:300円~500円程度
・効果:ΔT -5℃前後
・難易度:誰でも可能
まずは高価な冷却台を買う前に、この「足上げ+扇風機」を試してみてください。意外なほど効果があります。
ゲーミングノートPCの冷却を最強にする内部対策
外部からのエアフローを完璧に整えたら、次はPC内部の熱移動効率に目を向けましょう。どんなに強力なクーラーで風を送っても、CPUやGPUという「熱源」から、熱を放出する「ヒートシンク」へ熱がスムーズに伝わっていなければ、温度は下がりません。ここからは、メーカーの保証規定に抵触する可能性があるものの、成功すれば劇的な効果をもたらす「内部の最適化」について解説します。
免責事項
以下の内容はPCの裏蓋を開けての分解や、電圧操作などの改造行為を伴うため、メーカー保証が受けられなくなる可能性があります。実施にあたっては全て自己責任で行ってください。
塗り替えで冷えるPTM7950
自作PCの世界では、CPUグリスを「Thermal Grizzly(通称:熊グリス)」などの高性能なものに塗り替えるのが常識ですが、ノートPCにおいては事情が異なります。従来のペースト状グリスは、ノートPC特有の高熱と温度変化による膨張・収縮の繰り返しにより、「ポンプアウト現象」と呼ばれる劣化がすぐに発生してしまうのです。
ポンプアウトしない魔法の素材
そこで現在、世界中のハードウェア愛好家の間で「最強」の称号を得ているのが、Honeywell社の「PTM7950」です。これは「相変化素材(Phase Change Material: PCM)」と呼ばれる特殊なシートで、常温では固体のシート状ですが、45℃を超えると溶融して液状に変化します。液状化することでチップ表面のミクロな凹凸に浸透し、温度が下がると再び固体に戻ります。
この「固体⇔液体」のサイクルを繰り返す性質により、従来のグリスのように外側に押し出されることがなく、数年単位で初期の性能を維持し続けます。熱伝導率は公称8.5W/mKですが、接触抵抗が極めて低いため、実効性能では最高級グリスを凌駕します。
実際に私もメインのゲーミングノートPCをPTM7950に換装しましたが、Cinebench実行時の最大温度が95℃から87℃まで低下し、サーマルスロットリングが完全に解消されました。液体金属に近い性能を持ちながら、ショートのリスクがなく、塗り直しも不要。これこそが現代の冷却対策の決定版です。
おすすめの熱伝導グリスと選び方についての詳細はこちらでも解説しています。
液体金属グリスのメリットとリスク
冷却性能という数値を極限まで追求する場合、必ず名前が挙がるのが「液体金属(Liquid Metal)」です。これはガリウムを主成分とした合金で、常温でも液体の金属です。その熱伝導率は70W/mKを超え、一般的なシリコングリス(8~12W/mK)とは桁違いの性能を誇ります。
代償として背負う巨大なリスク
しかし、液体金属は「諸刃の剣」です。まず、非常に高い導電性(電気を通す性質)を持っています。塗布作業中に微細な一滴が基板上のコンデンサなどに飛んでしまえば、電源を入れた瞬間にショートし、マザーボードが破壊されます。これを防ぐためには、周囲を絶縁材でコーティングする高度なスキルが必要です。
さらに、ガリウムはアルミニウムを浸食して破壊する(ガリウム浸食)性質があるため、アルミ製のヒートシンクには絶対に使用できません。銅製のヒートシンクであっても、長期間使用すると表面が合金化して荒れてしまい、再塗布の際に研磨が必要になるなど、メンテナンスの手間も膨大です。
ASUSのROGシリーズなどのように、メーカーが工場出荷時に専用の封止構造で液体金属を塗布している場合は問題ありませんが、一般ユーザーが後からPTM7950ではなく液体金属を選ぶメリットは、リスクに対して小さすぎると私は考えます。
アンダボルティングで熱源を絶つ
物理的な改造だけでなく、ソフトウェア側からのアプローチで熱を抑えることも可能です。それが「アンダボルティング(Undervolting)」です。これはCPUやGPUに供給する電圧(Vcore)を、安定動作するギリギリまで下げるテクニックです。
なぜ電圧を下げると冷えるのか
半導体の消費電力(P)は、電圧(V)の二乗に比例します($P \propto f \cdot V^2$)。つまり、電圧をわずか10%下げるだけで、消費電力(=発熱)は20%近く削減できる計算になります。工場出荷時のPCは、個体差を考慮してかなり余裕を持った高めの電圧が設定されているため、これを「適正値」まで削るだけで、性能を落とすことなく温度だけを下げることができるのです。

ThrottleStopやIntel XTU、MSI Afterburnerといったツールを使用しますが、近年のIntel製CPU(第12世代以降のHシリーズなど)では、セキュリティ上の理由(Plundervolt脆弱性対策)から電圧操作がロックされているケースが増えています。その場合は、「電力制限(PL1/PL2)」の数値を少し下げるだけでも、フレームレートへの影響を抑えつつ温度を管理することが可能です。
アンダボルティングの具体的な設定手順や仕組みについてはこちらの記事も参考にしてください。
冷却ファン掃除の正しい手順と頻度
どれほど高価なクーラーを買い、最高級のグリスを塗ったとしても、PCの空気が通る道が詰まっていては何の意味もありません。特にゲーミングノートPCは大量の空気を吸い込むため、カーペットの毛やペットの毛、空気中の微細な埃を掃除機のように吸い集めてしまいます。
「フェルト化」する埃の恐怖
3ヶ月も放置すれば、ヒートシンクのフィン(放熱板)とファンの間に埃が溜まり、やがてフェルト状の壁となって空気の通り道を完全に塞ぎます。こうなると冷却能力はゼロに等しくなります。定期的なメンテナンスは必須です。
やってはいけない掃除方法
掃除には電動エアダスターが便利ですが、一つだけ絶対に守ってほしいルールがあります。それは「ファンを固定してから風を当てること」です。ファンに強い風を吹きかけて高速で空転させると、モーターが発電機として機能してしまい、発生した電気(逆起電力)がマザーボードに逆流します。これによりファンコントローラー回路が焼き切れ、二度とファンが回らなくなる事故が多発しています。必ず爪楊枝や指でファンブレードを押さえ、回転しないようにしてから埃を飛ばしてください。
(出典:Intel『オーバーヒートするノートブック PC の修正方法』)
ゲーミングノートPCの冷却で最強の環境まとめ
ゲーミングノートPCの冷却を「最強」にするための道のりは、一つの製品を買えば終わりというものではありません。外部からの強力なエアフロー(密閉型圧送クーラー)、内部の熱伝導効率化(PTM7950)、そして熱源の制御(アンダボルティング)を組み合わせることで初めて達成されます。
だいご流・最強冷却ロードマップ
- STEP 1: 100均のドアストッパーで底面を浮かせ、定期的に掃除する(基本中の基本。まずはここから)
- STEP 2: IETS GT600 または Llano V12 を導入する(これだけで熱問題の9割は解決します)
- STEP 3: 保証切れ覚悟で内部グリスを PTM7950 に塗り替える(さらに上を目指す究極の手段)

冷却への投資は、単に温度を下げるだけでなく、高価なPCの寿命を延ばし、本来持っている性能を最大限に引き出すための「必要経費」です。この記事が、あなたの相棒であるゲーミングノートPCを熱の魔の手から守り、快適なゲームライフを取り戻す助けになれば幸いです。
