ゲーミングPCの容量不足は、多くのゲーマーが直面する共通の悩みです。
新しいゲームをインストールしようとしたら空きがなかったり、ロード時間が長くなったりと、ストレージの問題は快適なゲーム体験を妨げる大きな要因となります。
この記事では、そんな悩みを解決するためのゲーミングPCのSSD増設のやり方について、初心者の方にも分かりやすく解説します。
SSDには高速なM.2タイプや手軽な外付け、従来からある内蔵のSATAタイプなど様々な種類があり、値段や性能も多岐にわたります。
そのため、どの製品が自分にとっておすすめなのか、迷ってしまう方も少なくありません。
また、ドスパラのガレリアをはじめとするBTOゲーミングPCのSSD増設は保証の問題も絡むため、失敗や後悔を避けたいと考えるのは当然です。
本記事では、SSDの選び方から具体的な取り付け手順、増設後の必須となる設定まで、一連の流れを網羅的にご紹介します。
正しい知識を身につけ、あなたのゲーミング環境をアップグレードさせましょう。
この記事を読むことで、以下の点が明確になります。
- あなたに最適なSSD(内蔵・外付け)の選び方
- PCケースの開封からSSD取り付けまでの具体的な手順
- ドスパラのガレリアなどBTOパソコンで増設する際の注意点
- 増設したSSDをPCに認識させるための初期設定方法
ゲーミングPCのSSD増設のやり方【準備編】
ここでは、SSD増設を始める前の準備段階として、知っておくべき基礎知識を解説します。
- SSDの値段とおすすめ容量の選び方
- 手軽さが魅力の外付けSSDという選択肢
- 速度を求めるなら内蔵SSDへの増設
- BTOゲーミングPCのSSD増設は可能か
- ゲーミングPCのSSD増設 M.2規格とは
- あなたに合う増設用SSDのおすすめ
SSDの値段とおすすめ容量の選び方
ゲーミングPCのSSD増設を考える際、最初のステップは「どの容量を、いくらの予算で手に入れるか」を決めることです。
用途に見合わない容量を選んでしまうと、すぐに容量不足に陥ったり、逆に使わない容量に余計な費用をかけてしまったりする可能性があります。
したがって、ご自身のゲームプレイスタイルと予算のバランスを考慮して選ぶことが大切です。
最近のAAAタイトルは100GBを超えるものが珍しくなく、アップデートでさらに容量が増えることもあります。
複数の大型タイトルをインストールしておきたいのであれば、最低でも1TB、余裕を持つなら2TBの容量を検討するのが良いでしょう。
値段はSSDの種類や性能、容量によって大きく変動します。以下に2025年時点での一般的な価格帯の目安をまとめました。
SSDの種類 | 容量: 1TB | 容量: 2TB | 特徴 |
M.2 NVMe (Gen4) | 10,000円~20,000円 | 18,000円~35,000円 | 最も高速で、近年のゲーミングPCの主流。 |
2.5インチ SATA | 8,000円~15,000円 | 15,000円~28,000円 | M.2より安価で、古いPCの換装やデータ倉庫向き。 |
外付けSSD | 10,000円~18,000円 | 18,000円~30,000円 | 内蔵型よりやや割高だが、手軽さが最大のメリット。 |
このように、容量が倍になると価格もほぼ倍になる傾向があります。まずは自分がインストールしたいゲームの数や、動画保存などの用途を考え、必要な容量を見積もることから始めてみてください。
手軽さが魅力の外付けSSDという選択肢
PCのケースを開けて内部パーツを触ることに抵抗がある、あるいは技術的な不安を感じる初心者の方にとって、外付けSSDは非常に魅力的な選択肢となります。
その最大のメリットは、何と言っても手軽さです。外付けSSDは、USBケーブルでPCのUSBポートに接続するだけで、すぐにストレージ容量を増やすことができます。
特別な工具や専門知識はほとんど必要ありません。ノートPCでもデスクトップPCでも、USBポートさえ空いていれば手軽に利用できるのが利点です。
一方で、デメリットも存在します。一つは、データ転送速度です。内蔵SSD、特にM.2 NVMe規格のものと比較すると、USB接続の帯域幅の制限により、ロード時間などで若干の差が出ることがあります。
もっとも、高品質なUSB 3.2 Gen2対応の製品であれば、HDDに比べれば圧倒的に高速で、多くのゲームで快適なプレイが可能です。
もう一つの注意点は、接続の安定性です。ケーブルの接触不良や、誤って抜いてしまうとデータ破損のリスクがあります。
ゲームのプレイ中に接続が切れると、ゲームがクラッシュしたりセーブデータが壊れたりする可能性もゼロではありません。
そのため、設置場所を工夫し、ケーブルが不用意に動かないように配慮することが求められます。
手軽さを最優先するなら外付けSSDは良い選択ですが、最高のパフォーマンスと安定性を求めるなら、次に解説する内蔵SSDを検討するのが賢明です。
速度を求めるなら内蔵SSDへの増設
ゲームのロード時間を1秒でも短縮し、最高のパフォーマンスを引き出したいと考えるなら、内蔵SSDへの増設が最適な答えとなります。
内蔵SSDは、PCのマザーボードに直接、あるいはSATAケーブルで接続されるため、USB接続の外付けSSDよりも高速で安定したデータ転送が可能です。
特に、近年のゲーミングPCで主流となっている「M.2 NVMe SSD」は、マザーボード上の専用スロットに直接差し込むことで、従来のSATA接続のSSDやHDDとは比較にならないほどの読み込み速度を実現します。
この速度は、広大なマップを読み込むオープンワールドゲームや、頻繁にローディングが発生するゲームにおいて、待ち時間を大幅に削減し、没入感を高める上で大きな効果を発揮します。
OSの起動やアプリケーションの立ち上がりも高速化されるため、ゲーム以外のPC操作全般が快適になるという副次的なメリットも享受できます。
もちろん、内蔵SSDの増設にはPCのサイドパネルを開け、内部の配線やパーツに触れる作業が必要です。この作業には多少の知識と注意が求められ、初心者にとってはハードルに感じられるかもしれません。
しかし、手順を一つひとつ丁寧に行えば、決して難しい作業ではありません。この記事の後半で詳しく手順を解説しますので、ぜひ挑戦を検討してみてください。
BTOゲーミングPCのSSD増設は可能か
ドスパラのガレリアや、その他のメーカーから販売されているBTO(Build to Order)ゲーミングPCをお使いの場合でも、SSDの増設は多くの場合で可能です。
しかし、実行する前にはいくつかの重要な確認事項と注意点があります。
まず確認すべきは、お使いのPCの拡張性です。
具体的には、マザーボードに利用可能な空きのM.2スロットやSATAポートがあるか、SSDを設置するための物理的なスペース(2.5インチベイなど)が残っているか、そしてSSDに電力を供給するためのSATA電源ケーブルに空きがあるか、の3点です。
これらの情報は、購入時の仕様書やメーカーの製品ページ、あるいはPCのケースを実際に開けて目視で確認する必要があります。
最も注意すべきなのが「保証」の問題です。
多くのBTOメーカーでは、ユーザーがPCケースを開けて内部パーツの増設や交換を行った場合、それが原因で発生した故障については保証の対象外とする規定を設けています。
増設作業そのものが直ちに保証を無効にするわけではありませんが、作業中のミスで他のパーツを破損させてしまった場合は自己責任となります。
このため、増設作業を行う際は、メーカーの保証規定を事前にしっかりと確認し、リスクを理解した上で自己責任で行うことが大前提となります。
自信がない場合は、有料で増設サービスを提供しているメーカーもあるため、そちらの利用を検討するのも一つの手です。
ゲーミングPCのSSD増設 M.2規格とは
内蔵SSDの増設を検討する上で、現在最も主流となっているのが「M.2(エムドットツー)」という規格です。これは、ガムスティックのような小さな基板形状をしたSSDで、その最大の特徴は小型であることと、高速なデータ転送が可能である点にあります。
M.2 SSDの接続方式「NVMe」と「SATA」
M.2 SSDには、内部的な接続方式(プロトコル)の違いで主に2つのタイプが存在します。
- NVMe (NVM Express): こちらが現在主流の高速タイプです。マザーボードのPCI Express(PCIe)レーンを直接利用してデータを転送するため、非常に高速な読み書き性能を発揮します。ゲーミング用途で最高のパフォーマンスを求めるなら、NVMe対応のM.2 SSDを選ぶのが基本となります。
- SATA: 従来の2.5インチSSDと同じSATA接続の信号を利用するタイプです。速度はNVMeに劣りますが、少し前のPCや安価なモデルではこちらの規格にしか対応していない場合もあります。形状はNVMeタイプと酷似しているため、購入時には注意が必要です。
世代による速度の違い「PCIe Gen3, Gen4, Gen5」
NVMeタイプのM.2 SSDは、PCI Expressの世代によっても最大速度が異なります。新しい世代ほど高速ですが、マザーボード側も同じ世代に対応している必要があります。
例えば、Gen4対応のマザーボードにGen3のSSDを挿すことは可能ですが、速度はGen3の上限になります。ゲーミングPCの性能を最大限に活かすには、マザーボードの対応世代に合わせたSSDを選ぶことが大切です。
サイズとキー形状
M.2 SSDにはいくつかのサイズ規格がありますが、現在市販されている製品のほとんどは「Type 2280」(幅22mm、長さ80mm)というサイズです。
また、スロットに差し込む端子の切り欠きの形状(キー)にも種類があり、NVMe SSDの多くは「M-Key」となっています。PCのマニュアルを確認し、これらの規格が適合するかを事前に確認しましょう。
あなたに合う増設用SSDのおすすめ
数あるSSD製品の中から、自分にとって最適の一台を選ぶのは難しいものです。ここでは、信頼性と性能のバランスを考慮し、ゲーミング用途でおすすめできるメーカーと製品選びのポイントを解説します。
まず、SSD選びで最も大切なのは、信頼できるメーカーの製品を選ぶことです。主要なメーカーとしては、Western Digital (WD)、Samsung、Crucial、KIOXIA(旧東芝メモリ)などが挙げられます。
これらのメーカーは自社でメモリチップを製造していることも多く、品質管理がしっかりしているため、長期間安心して使用できる可能性が高いです。
次に、具体的な製品選びのポイントを用途別に紹介します。
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コスパ重視でバランスの良い性能を求めるなら
- 製品例: Western Digital Blue SN580, Crucial P5 Plus
- PCIe Gen4に対応し、多くのゲームで十分すぎるほどの高速な読み込み速度を実現しながら、価格が手頃なモデルです。ほとんどのゲーマーにとって、このクラスの製品が最も満足度の高い選択肢となるでしょう。
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最高の速度を追求するハイエンド志向なら
- 製品例: Samsung 990 PRO, Western Digital Black SN850X
- PCIe Gen4の最上位クラスの性能を持ち、わずかなロード時間も妥協したくないコアゲーマーや、大容量ファイルの読み書きが多いクリエイター向けの製品です。価格は高めですが、それに見合うパフォーマンスを提供します。
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SATA接続での増設や換装なら
- 製品例: Samsung 870 EVO, Crucial MX500
- M.2スロットに空きがない場合や、古いHDDからの換装には、信頼性の高いこれらの2.5インチSATA SSDが定番です。SATA接続の速度上限に近い性能を発揮し、安定した動作に定評があります。
また、M.2 SSDを選ぶ際には「ヒートシンク」の有無も考慮点です。高負荷が続くとSSDは熱を持ち、性能が低下することがあります。
多くのマザーボードには標準でヒートシンクが付属していますが、付いていない場合は、ヒートシンク付きのSSDモデルを選ぶか、別途ヒートシンクを購入して取り付けることをおすすめします。
ゲーミングPCのSSD増設のやり方【実践編】
ここからは、実際にPCケースを開けてSSDを増設する具体的な手順と、増設後の設定について解説していきます。
- ドスパラゲーミングPCのSSD増設方法
- 増設ガレリア編:PCケースを開ける前に
- SSD取り付け後に必要なフォーマット設定
ドスパラゲーミングPCのSSD増設方法
ドスパラの主力ゲーミングPCブランド「ガレリア(GALLERIA)」は、比較的標準的なパーツ構成で組まれていることが多く、SSDの増設も行いやすいモデルの一つです。
しかし、一部のモデルでは特注のマザーボードが使用されている場合もあるため、作業前には必ずご自身のPCの仕様を確認することが不可欠です。
仕様の確認は、ドスパラの公式サイトにある購入履歴や、PC本体側面に貼られたシリアル番号から構成を確認するページで行えます。
ここでマザーボードの型番や、M.2スロットおよびSATAポートの空き状況を把握しましょう。
増設手順の概要
- PCの電源を完全に落とす: シャットダウン後、電源ケーブルをコンセントから抜き、数分間放置して内部の電気を放電させます。
- ケースを開ける: ガレリアのケースは、モデルによって異なりますが、多くは背面にあるネジを数本外すことでサイドパネルを取り外せます。
- SSDの取り付け場所を確認: マザーボード上の空きM.2スロットや、HDDなどを設置する2.5インチベイの位置を確認します。
- SSDを取り付ける: M.2 SSDの場合はスロットに差し込んでネジで固定し、2.5インチSATA SSDの場合はベイに固定してからSATAデータケーブルとSATA電源ケーブルを接続します。
- ケースを閉じて起動: ケーブルの接続に問題がないことを確認したら、サイドパネルを元に戻し、電源ケーブルを接続してPCを起動します。
前述の通り、ユーザーによる増設作業はメーカー保証の対象外となるリスクを伴います。作業は慎重に行い、もし不安な場合はドスパラが提供するアップグレードサービスなどを利用することも検討しましょう。
増設ガレリア編:PCケースを開ける前に
ガレリアをはじめとするゲーミングPCのケースを開けて作業を始める前には、万全の準備を整えることが、トラブルを未然に防ぎ、増設を成功させるための鍵となります。
必要な道具を揃える
まず、作業に最低限必要な道具を準備しましょう。
- プラスドライバー: PCケースのネジや、SSDを固定するために必須です。ネジのサイズに合ったものを用意してください。
- M.2 SSD固定用ネジ: M.2 SSDを増設する場合、マザーボードに固定するための小さなネジが必要です。これはマザーボードやPCケースに付属していることが多いですが、もし手元にない場合は別途購入する必要があります。
- (任意)静電気防止手袋: PCの内部パーツは静電気に非常に弱く、最悪の場合、静電気が原因で故障することもあります。専用の手袋があれば安心ですが、なければ作業前に水道の蛇口など、大きな金属に触れて体に溜まった静電気を逃がす習慣をつけるだけでも効果があります。
作業環境を整える
作業は、広くて明るい場所で行うのが理想的です。細かいネジやパーツを扱うため、手元が暗いと作業がしにくく、紛失の原因にもなります。また、PCから取り外したサイドパネルやネジを置いておくスペースも確保しておきましょう。
PCケースを開ける前には、必ずPCをシャットダウンし、接続されている全てのケーブル(電源、モニター、USB機器など)を抜いてください。
特に電源ケーブルをコンセントから抜くことは絶対に忘れないでください。感電やショートによるパーツ破損の危険があります。この準備を怠らず、落ち着いて作業に臨むことが大切です。
SSD取り付け後に必要なフォーマット設定
新しいSSDを物理的にPCに取り付けただけでは、Windowsはそれを認識してくれません。
ドライブとして使用可能にするためには、「初期化」と「フォーマット」というプロセスを経る必要があります。この設定はWindowsの標準機能である「ディスクの管理」ツールで行います。
1. ディスクの管理を開く
まず、「ディスクの管理」を起動します。Windowsのスタートボタンを右クリックし、表示されたメニューの中から「ディスクの管理」を選択してください。これが最も簡単なアクセス方法です。
2. ディスクを初期化する
「ディスクの管理」を開くと、新しいSSDが検出された場合、「ディスクの初期化」ウィンドウが自動的に表示されることがあります。表示されない場合は、ディスクの一覧から「不明」や「未割り当て」と表示されている新しいディスク(容量で判断できます)を見つけ、そのディスク番号の部分を右クリックして「ディスクの初期化」を選択します。
パーティションのスタイルを選択する画面では、「GPT(GUIDパーティションテーブル)」を選択することをおすすめします。GPTは近代的で、2TBを超える大容量ディスクにも対応しているため、特別な理由がない限りこちらを選んでおけば問題ありません。
3. ボリュームを作成しフォーマットする
初期化が完了すると、ディスクは「未割り当て」領域として表示されます。この「未割り当て」領域を右クリックし、「新しいシンプルボリューム」を選択してください。
「新しいシンプルボリュームウィザード」が起動しますので、画面の指示に従って進めていきます。
- ボリュームサイズの指定: 通常は最大サイズをそのまま使用します。
- ドライブ文字の割り当て: DドライブやEドライブなど、好きなアルファベットを割り当てます。
- パーティションのフォーマット: ここでファイルシステムを「NTFS」、アロケーションユニットサイズを「規定値」に設定し、ボリュームラベルに好きな名前(例: GAME_DATA)を入力します。「クイックフォーマットする」にチェックが入っていることを確認し、ウィザードを完了させてください。
フォーマットが完了すると、状態が「正常」と表示され、エクスプローラーにも新しいドライブとして認識されます。これで、ゲームのインストールやデータの保存が可能になります。
悩まずできるゲーミングPC SSD増設のやり方
この記事では、ゲーミングPCのSSD増設について、そのやり方を準備から実践、設定まで網羅的に解説しました。最後に、今回の重要なポイントをまとめます。
- ゲーミングPCの容量不足はSSD増設で解決できる
- SSDには内蔵型(M.2, SATA)と外付け型がある
- 手軽さを求めるなら外付けSSDが最初の選択肢
- 最高のパフォーマンスを求めるなら内蔵M.2 NVMe SSDが最適
- SSDの容量は最低1TB、余裕を持つなら2TBがおすすめ
- 値段と性能のバランスを見て信頼できるメーカーの製品を選ぶ
- BTOパソコンの増設は保証規定を確認し自己責任で行う
- ドスパラのガレリアなど人気モデルは情報が多く増設しやすい
- 作業前にはPCの電源を切り、静電気対策を必ず行う
- M.2 SSDの増設には専用の固定ネジが必要になる場合がある
- SSDは物理的に接続しただけでは使用できない
- Windowsの「ディスクの管理」で初期化とフォーマットが必要
- 初期化の際はパーティションスタイルにGPTを選択する
- フォーマットはファイルシステムをNTFSに設定する
- 手順を正しく踏めば初心者でもSSD増設は可能である